どーも、こんにちは、
ひぽぽです。
ほとんどの育毛サロンでは、
『頭皮洗浄などで毛穴の皮脂を取り除き、髪に良い環境を整える』
ということをやっています。
皮脂が取れた後のサッパリした毛穴の拡大写真を見みると、「なんか髪に良さそうやなー。」という気になりますよね。
一方で、
『昔は今より髪を洗う頻度が低かったのにハゲがたくさんいたわけではない。だから、皮脂が原因でハゲることはない。』
というような記事もネット上でよく目にします。
このように、頭の皮脂は髪に悪い影響を与えるという考えと、与えないという考えがあって、混乱してしまいます。
本当はどっちなんでしょう?
皮脂が引き起こす病気:脂漏性皮膚炎
皮脂と脱毛の関係をネットで調べてみると、
「過剰な皮脂の分泌が脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)を引き起こし、脱毛の原因になる。」
という記事をいくつも見かけました。
この脂漏性皮膚炎とは、皮脂中の成分が皮膚上の真菌(誰の皮膚上にも存在しているカビ)によって分解され、生じた遊離脂肪酸が皮膚に炎症を引き起こすものです。
皮脂の分泌が多い顔や頭に見られ、炎症による皮膚の赤らみ・軽いかゆみ・フケのような皮膚片の脱落が起こります。
脂漏性皮膚炎が頭皮に起こった場合、脱毛を引き起こすこともあります。
皮脂の酸化と脱毛に関する実験
さらに皮脂と脱毛の関係を調べてみると、皮脂の酸化による脱毛を防ぐ成分の特許がライオン株式会社によって申請されていました※1。
頭の皮脂の酸化は紫外線の影響などによって起こり、皮脂が過酸化脂質に変化します。
この特許の中の実験で、過酸化脂質をラットの皮膚に塗ると、毛包においてアポトーシス(細胞の自然死)が起こることが確かめられています。
毛包においてアポトーシスが起こると髪の毛の成長が止まり、その後抜け落ちてしまいます。
この実験結果は、
頭の皮脂が紫外線などの影響で酸化されると、脱毛の原因になる可能性がある
ということを示しています。
また、抗酸化効果のあるピロクトンオラミンと抗炎症効果のあるβ-グリチルレチン酸を同時に塗布することで、過酸化脂質によるアポトーシスを防ぐことができることも確かめられています。
ライオン株式会社は、これらの実験結果に基づいて開発した育毛剤『PRO TEC スプレートニック』(医薬部外品)をすでに販売しています。
※1:『毛包アポトーシス反応阻害剤および毛髪化粧料組成物』特開2007-22923
皮脂が脱毛の原因になるのは分かったけれども……。
このように、頭の皮脂は髪に悪い影響を与え、脱毛の原因になることが分かりました。
しかし、注意しなければならないのは、
頭の皮脂を取り除くことは、多くの男性の悩みであるAGA(男性型脱毛症)の対策にはならない
ということです。
【AGAの詳細はこちら⇒AGA(男性型脱毛症)とは?】
なぜなら、
脂漏性皮膚炎による脱毛・皮脂の酸化による脱毛は、AGAによる脱毛とは別の物だと考えられるからです。
脂漏性皮膚炎による脱毛とAGAによる脱毛は別物
まず、「脂漏性皮膚炎による脱毛は、AGAによる脱毛とは別の物」と考えられる理由を見てみましょう。
この理由は簡単です。
脂漏性皮膚炎では、皮膚の赤らみ・軽いかゆみ・フケのような皮膚片の脱落などが起こりますが、AGAではそのような症状は見られません。
脂漏性皮膚炎による脱毛とAGAによる脱毛が別の物であるのは明らかですよね。
皮脂の酸化による脱毛とAGAによる脱毛は別物
次に、「皮脂の酸化による脱毛は、AGAによる脱毛とは別の物」と考えられる理由です。
このグラフを見てください。
<出典:CELLA COSMETICS スキンケア辞典:https://cella.jp/skin_care/detail.php?p_id=1087>
グラフが示すように、男性の皮脂分泌量は第二次性徴期から急増し、20歳代でピークを迎えた後は年齢による変化がほとんどありません。
皮脂分泌量が多いほど皮脂の酸化による脱毛が起こりやすくなると考えられるので、皮脂の酸化による脱毛発症率も上のグラフと同じようなパターンになるはずです。
一方、AGAの発症率は20代で約10%、30代で20%、40代で30%、50代以降で40数%と、年齢と共に高くなります※2。
このように、皮脂分泌量(皮脂の酸化による脱毛発症率の変化のパターン)とAGA発症率では、変化のパターンが一致していません。
したがって、皮脂の酸化による脱毛とAGAによる脱毛は別物である可能性が高いと考えられます。
※2:板見 智:日本人成人男性における毛髪(男性型 脱毛)に関する意識調査.日本医事新報:第4209 号,27-29,2004
まとめ
頭の皮脂は髪に悪い影響を与え、脱毛を引き起こす可能性があることが分かりました。
しかし、これはAGAによる脱毛とは別物のようです。
つまり、頭の皮脂を取り除いたり、皮脂の酸化を防ぐ育毛剤を使ったりすることは育毛のためにプラスになるけれども、それだけで抜け毛・薄毛対策はOKというわけではないということです。
AGAの主な原因は、男性ホルモンのテストステロンが変化してできるDHT(ジヒドロテストステロン)が毛根の受容体と結合することで、脱毛を促進する命令物質が生成されることだと考えられています。
やはり、
AGA対策で最も大切なのは、AGAの根本的な原因物質DHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑える成分フィナステリドの服用です。
まずはフィナステリドでAGA対策を行ってみて、さらに念を入れて抜け毛・薄毛を予防したいと思ったときには、皮脂対策を行えば良いと思います。
【フィナステリドの効果・副作用についてはこちら⇒フィナステリドとミノキシジル(AGAに効果のある成分)】
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