どーも、こんにちは、
ひぽぽです。
いやー、8月も終わろうというのに暑い日が続きますねー。
でも、セミの声がまばらになってませんか?
やっぱり夏の終わりが近づいてるんですね。
さて、ここのところ頭や顔の皮脂分泌についてネットで調べていたんですが、「『プロペシア』には皮脂の分泌を減らす効果がある。」という内容の記事がたくさんありました。
それに、「『プロペシア』を飲み始めてから、頭皮の脂が減った!」という実際の体験談もいくつも見かけました。
育毛サロンや育毛シャンプーの宣伝では頭皮の脂による害がしきりに叫ばれているので、あなたも「『プロペシア』で頭皮の脂が減ってくれたらいいな」と思っているかもしれません。
でも、私が『プロペシア』を使っていた時には、特に皮脂が減った感じはしませんでした。
『プロペシア』には、皮脂を減らす効果が本当にあるんでしょうか?
『プロペシア』が効果を発揮する仕組み
ちょっとここで、『プロペシア』が男性型脱毛症(AGA)治療に効果を発揮する仕組みを振り返ってみましょう。
AGAを引き起こしているのは、男性ホルモンのテストステロンが変化しててきるジヒドロテストステロン(DHT)です。
そして、テストステロンをDHTに変える働きをしているのが、5α-リダクターゼという酵素です。
『プロペシア』に含まれる有効成分フィナステリドは、5α-リダクターゼを阻害してDHTができるのを抑え、AGAの進行を防ぎます(下図)。
皮脂の分泌を引き起こしているのもDHTであり、これと同じ図式が成り立つと考えられています。
だとすると、『プロペシア』を飲めば皮脂の分泌が減るはずですよね。
フィナステリドによる皮脂分泌量の変化を調べた結果
『プロペシア』の有効成分フィナステリドを投与して、本当に皮脂分泌量(額の皮脂)が減るかを確かめた実験が行われています※1。
その結果はというと、
フィナステリドを投与しても、皮脂の分泌量は変わらない
というものでした。
また、
5α-還元酵素欠損症(5α-リダクターゼを持っていない)の人の皮脂分泌量は、正常な男性と変わらない
という結果も出ています。
うーむ、おかしいですよね?
DHTが抑えられれば、皮脂の分泌量が減るはずなんですけど……。
※1:Imperato-McGinley J, Gautier T, Cai LQ, Yee B, Epstein J, Pochi P. “The androgen control of sebum production. Studies of subjects with dihydrotestosterone deficiency and complete androgen insensitivity.” J Clin Endocrinol Metab. 1993 Feb;76(2):524-8.
忘れちゃいけない5α-リダクターゼ1型
でも、ちょっと待ってください。
そう言えば、5α-リダクターゼには1型と2型の2種類がありましたね。
『プロペシア』のフィナステリドが阻害するのは2型です。
それに、5α-還元酵素欠損症の人が持っていないのも2型です。
もしかしたら、下の図の様に1型が作ったDHTが働いているため、2型を阻害しても皮脂の分泌が減らないのかもしれません。
確かに、次のような事実は皮脂の分泌に1型が大きな役割を果たしていることを示しています。
- 皮脂を分泌する働きをする皮脂腺には、5α-リダクターゼ1型が多く存在する※2。
- 皮脂の分泌が多い部位(顔・後頭部)の皮脂腺は、皮脂の分泌が少ない部位(腕・胸・腹・足)の皮脂腺より5α-リダクターゼ1型の働きが活発である※3。
※2:Bayne EK1, Flanagan J, Einstein M, Ayala J, Chang B, Azzolina B, Whiting DA, Mumford RA, Thiboutot D, Singer II, Harris G. “Immunohistochemical localization of types 1 and 2 5alpha-reductase in human scalp.” Br J Dermatol. 1999 Sep;141(3):481-91.
※3:Thiboutot D1, Harris G, Iles V, Cimis G, Gilliland K, Hagari S. “Activity of the type 1 5 alpha-reductase exhibits regional differences in isolated sebaceous glands and whole skin.” J Invest Dermatol. 1995 Aug;105(2):209-14.
デュタステリドによる皮脂分泌量の変化を調べた結果
じゃあ、1型と2型の両方阻害したらどうよ?
というわけで、1型・2型の両方を阻害する成分デュタステリドを投与して、皮脂分泌量(額・鼻・背中)の変化を調べた実験も行われています※4。
【デュタステリドの詳細はこちら⇒ザガーロ?デュタステリド?なにそれ、おいしいの?】
その結果は、
デュタステリドを投与しても、皮脂の分泌量は変わらない
というものでした。
て、なんでやねーん。
1型・2型の両方を阻害したのに、なんで皮脂が減らないの?
予想に反して皮脂分泌量が減らない理由の一つとして、皮脂腺がDHTに対して敏感で、少量のDHTしか必要としないことが考えられます。
例えば、皮脂腺が十分な量の皮脂を分泌するためにDHTの量を1しか必要としないとします。
すると、もともと10あったDHTの量を5α-リダクターゼ阻害剤で3まで減らしたとしても、皮脂分泌量には何の影響もないですよね。
※4:Shalender Bhasin, Thomas G, Thomas W, et al. “Effect of Testosterone Supplementation With and Without a Dual 5α-Reductase Inhibitor on Fat-Free Mass in Men With Suppressed Testosterone Production” JAMA. 2012;307(9):931-939.
まとめ
ここまで見てきたように、5α-リダクターゼ阻害剤で皮脂の分泌が減ったという実験結果はありませんでした(私が調べた限りでは)。
でも、『プロペシア』で皮脂が減ったという体験談は実際にいくつもあります。
このことから考えると、5α-リダクターゼ阻害剤が皮脂分泌に与える影響にはかなり個人差があるのかもしれません。
結局言えることは、
人によっては『プロペシア』で皮脂が減るかもしれない
ということですね。
ただ、もし皮脂が減らなかったとしても、それほど気にすることはありません。
なぜなら、頭皮の脂が原因で脱毛が起こることもありますが、それは私たち多くの男性が悩んでいる男性型脱毛症(AGA)とは別物だからです。
【頭皮の脂による抜け毛とAGAによる抜け毛の違いについてはこちら⇒頭の皮脂は髪に悪影響を与えるか?】
皮脂が減ろうが減るまいが、『プロペシア』で頭髪は改善します。
安心して飲み続けてくださいね。
それでは、また。
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