どーも、こんにちは、
ひぽぽです。
突然ですが、二つ質問です。
「医療に関わる者なら当然持っているであろう『病気で苦しんでいる人を助けたい。』という誠実な志を、製薬会社は持っていると思いますか?」
「企業の規模が大きかったり名前がよく知られていたりする企業ほど、信頼できると思いますか?」
もしこれらの質問の答えがYesだとすると、世界的な規模の製薬会社は誠実でとても信頼できるということになりますよね。
でも、現実は違うようです。
世界的な製薬会社が患者の健康や命を軽視する事件がいくつも起こっているのです。
どんな事件があったのか見てみましょう。
副作用報告義務の軽視
新しい薬は販売前に臨床試験によって安全性が確かめられ、厚生労働省の認可を受けます。
ですが、薬が販売された後になって臨床試験では分からなかった副作用が明らかになる可能性が十分あるのです。
なぜなら、臨床試験で調べることができる被験者の数や投薬期間は限られていますし、他の薬を併用している人や他の病気を併発している人については調べられないからです。
そこで重要になってくるのが、販売後の副作用情報の収集です。
日本では医薬品の製造販売業者は、自社製品の副作用に関する新たな情報が得られたときには、それを一定期限内に厚生労働大臣に報告しなければなりません。
ところが、2015年2月、ノバルティスファーマ(2016年売上高世界3位)は26製品・3264人の患者についての重い副作用情報の報告漏れがあったとして、15日間の業務停止命令を受けました(この他にも2度の業務改善命令)。
他にも、2015年2月にギリアド(2016年売上高世界8位)が業務改善指示を、2015年9月にファイザー(2016年売上高世界1位)が業務改善命令を受けています。
これらの例を含め、2014年~2016年の間に9社において報告漏れがありました。
報告義務に対する認識不足や、MR(医療従事者相手の営業職、主に自社製品の情報提供と副作用情報の収集を行う)が得た副作用情報が確実に報告される体制の不備など原因は様々ですが、各製薬会社が副作用報告を軽視していたことは間違いないでしょう。
臨床試験データの改ざん
先ほど登場したノバルティスファーマは、主力商品の一つ『ディオバン』の臨床試験データの改ざんに関わっていた疑いで刑事告発されたこともあります。
『ディオバン』は血圧を下げるための薬ですが、さらに脳卒中・心筋梗塞・糖尿病性腎症などを抑制する効果があるかを調べるための臨床研究が日本の5つの大学(京都府立医科大学・東京慈恵会医科大学・滋賀医科大学・千葉大学・名古屋大学)で行われました。
そして、それぞれの研究結果は2007年~2012年の間に論文として発表されました。
5つの内3つの論文で『ディオバン』のさらなる効果が確認されたため、ノバルティスファーマはこの結果を販売促進に利用していました。
ところが、これら5つの内4つの論文でデータの改ざんが行われていたことが明らかになったのです。
そして、5つ全ての論文において試験データの管理・解析を任されていたのがノバルティスファーマの社員でした。
状況だけ見ると、『ディオバン』の販売促進のためにノバルティスファーマがデータを改ざんしたように思えます。
2014年1月9日には、京都府立医科大学の発表した論文について、ノバルティスファーマと試験データの管理・解析を行った社員が薬事法(虚偽・誇大広告の禁止)違反の疑いで東京地検に刑事告発されました。
裁判の結果、論文のデータが社員によって改ざんされたことは認められたものの、それが医薬品の購入意欲を起こさせるためだとは言えないとして無罪とされました。
データ改ざんの他にも、5つの論文にはノバルティスファーマとの関係(研究にノバルティスファーマの社員が関わっていること、ノバルティスファーマから研究の助成金を受け取っていること)が記されていなかったことも問題になりました。
研究や研究者が企業から何らかの利益を受けている場合、そのことを開示しなければ研究全体に対する信頼が失われてしまうからです。
この事件をきっかけに2017年4月には臨床研究法が公布され、医師やその所属機関への資金提供を毎年度公表することが製薬会社に義務付けられました。
不利な臨床試験データの隠ぺい
グラクソ・スミスクライン(2016年売上高世界5位)はデュタステリド配合育毛剤『ザガーロ』の製造元なので、名前を知っている人もいるかもしれません。
この会社は、抗うつ薬『パキシル』(日本名)が思春期の若者に効果がなく、自殺のリスクを増加させる危険があるという試験データを得ていたにも関わらず、不利な部分は隠し、『パキシル』は安全で思春期の若者にも効果があるかのような論文を発表していました。
さらに、その論文をもとにして医師たちに思春期の若者にパキシルの処方を強く勧める販売促進戦略を行っていたのです(しかも『パキシル』は思春期の若者への処方は認可されていなかった)。
これらの行為などに対する罪で、グラクソ・スミスクラインは2012年に30億ドル(約2400億円)の罰金をアメリカ政府に支払いました。
まとめ
以前の記事:育毛剤のこと調べてたら、いつのまにか世界の大問題の話になってた。にも書きましたが、人の健康や命に深く関わっている製薬会社と言えど、企業であることに変わりはありません。
その目的は極限まで利益を追求することにあります。
残念ながら、時に患者の健康や命より利益を優先させることがあるのです。
それは世界的な製薬企業でも同じです(むしろ世界的な製薬会社だからか)。
製薬会社を完全には信頼できない以上、私たちは自分で薬の安全性を確保しなければなりません。
そのためには、自分が使った薬についての情報を発信したり、また他の人が発信したそのような情報を仕入れたりすることが大切だと思います。
なんだか製薬会社を悪者みたいに書きましたが、医療に関わる人や企業には誠実であって欲しいという、私の勝手な願いがあるからなんでしょうね、スンマセン。
それでは、また。
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